ブログをご覧の皆さんこんばんは。カウントダウンTV風に始めてみました、Shoです。
長く続いたアメリカ大統領候補によるキャンペーンも終わりを告げ、大方のメディアの予想を覆し、ドナルド・トランプが勝利しました。私も昨晩はずっとTVに張り付いて進捗を追っていましたが、痺れるほどのデッドヒートでしたね。
私は特に人一倍興味を持ってこの選挙戦を観察していたわけではありませんが、ちょうどこのタイミングでアメリカに住んでいるということで、ちょくちょくTVでニュースなんかは見ていましたので、「アメリカに留学している一般的な日本人」の視点から、今回の大統領選挙に感じた2つのことを記しておきたいと思います。
1. 分断されたアメリカ
やはり日本にいるよりも、アメリカにいることで大統領選挙について考える頻度は多くなります。
ここのところTVでは毎日、朝から晩まで大統領選挙の話題で、他にニュースはないのかと思うほどです。
授業中にも、たまに教授の大統領選挙ジョークが飛び出します。第一回目の大統領候補ディベートが放送された次の日、生徒の質問を遮ったファイナンスの教授は、
”Sorry to interrupt you. Like Trump. Haha”
統計分析の授業中にChatbotに関する話題になった時は、
”Does anybody know about chatbots? For instance, Trump is a chatbot. Haha”
結構ウケてました。
大統領選挙ジョークに出てくるのは決まってトランプです。あのユニークなキャラクターがその理由でしょう。しかし、そのジョークがウケる理由は別のところにありそうです。つまり、その教室にいる人たち全員(あるいはそのほとんど)が「大統領選挙に勝つのはきちんとしたヒラリーで、トランプは変なやつ」と考えているため、トランプをイジるジョークはウケます。
そんな日常を過ごす中、昨晩の選挙戦をTVで見ながらこう感じました。
「トランプ支持者ってこんなにいるんだ。」
実は私はトランプ支持者に会ったことがありません。最終的にトランプが勝利したミシガン州にいるにも関わらず、です。私のいるAnn Arborという町はヒラリー支持層が多いとはいえ、町を出ると半分以上がトランプ支持者なんてことは、選挙が終わった今でも想像がつきません。
アメリカのビジネススクールに来て、様々な国から来た生徒たちと、マルチナショナルな環境で勉強している。時には、世界情勢のことなんかについても考える。世界のことを知っているような気になっている。でも結局、私は狭い世界に生きているのだなと実感します。アメリカという現地にいながら、あれだけの票数を獲得するトランプの支持者に会うことすらないのですから。
ただ、投票結果を地図で見てみると、どうやらビジネススクールだけが閉ざされた世界にいるわけではなさそうです。ニューヨーク州やカリフォルニア州を中心としたヒラリー支持層と、内陸部を中心としたトランプ支持層は、なんだか分断されているように見えます。ヒラリー支持層しか周りにいない私のFacebookには、一向に「トランプが勝って嬉しい」という旨のポストは流れてきません。
2. ラリーの熱気
大統領選挙の前日、私の住むAnn Arborという小さな町にオバマ大統領が来てヒラリーの応援スピーチをするというので、いそいそと参加しました。TVでよく見る、支持者がたくさん集まって盛り上がっている大規模集会(ラリー)、あれです。
開場時間の9:00amよりも一時間早い8:00amから並びましたが、歩いて10分のところでオバマ大統領のスピーチが見れる、しかも大統領選挙の前日ということで、平日にも関わらず、すでに町中から何千人もの市民が集まっていました。
4時間ほど並び、ヒラリーの娘チェルシーも含めて5人ほどの応援演説を見た後、ついにオバマの登場です。会場は大盛り上がり。
今回の応援演説で編み出したキラーフレーズ”Don’t boo. Vote!”で会場を盛り立て、終盤にはついに伝家の宝刀”Yes, we can!”が飛び出します。これにはみんな大興奮で、「これがやりたかったんだ」とばかりに”Yes, we can! Yes, we can!”と連呼します。TVで見たことのある光景です。
まるでロックフェスティバルのように盛り上がった後は、みんな「今日はオバマが見れて良かったね」「でも登場まですごい焦らしたよね」と言いながら帰っていきます。
周りの会話を聞きながら、私はほとんどの人が野次馬だったことに気がつきました。確かにそこに来ていた人はみんなヒラリー支持者だったのでしょう。でもあの熱狂は、ヒラリーに対する期待によるものだけではないように思われました。
「みんな”Yes, we can!”って言いたいだけなんじゃなかろうか」
TVで見ている時は、それぞれの陣営にこんなにも熱狂的な支持者がいるのかと思っていましたが、実際はそこから野次馬の熱気を差し引いて考えなければいけないようです。TVだけでは分からないことはたくさんありますね。
とはいえ、ヒラリー本人によるものもトランプのものも参加したわけではないですし、特に、トランプ支持者は熱狂的らしいので、状況は異なるかもしれません。
アメリカ留学中にたまたまこの歴史的な大統領選挙を体験することができたのは幸運でした。どうか良い方向に進みますように。