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MBAとは自分の強みを見つける旅である

かっこいいタイトルで始めてみました、Shoです。思えばあの長く険しいMBA受験が始まってから今まで、三年もの月日が経ちました。人間とは便利な生き物で、しんどかったことはほとんど忘れて楽しかった思い出ばかりが残り、頑張ってよかったなぁとのんきにコーヒーを飲んでおります。

とはいえ、辛いことは全て忘れてしまったのかというとやはりそうでも無く、特に辛かった思い出は心の奥深くに刻まれています。タイトルにあるように、私がどのようにして自分の強みを見つけるに至ったかを示すためには、一番辛かった思い出と、一番嬉しかった思い出の両方を紹介する必要があります。

一番辛かった思い出

時は2016年3月、MBAのプログラムが始まって最初に受けた必修科目 ”Business Communication” まで遡ります。このクラスでは毎日違うクラスメートとチームを組み、連日深夜まで、翌日までの宿題やプレゼン準備をしていました。その中でも特にきつかったのが、Transformational Presentationという課題で、私のMBA留学の中でも最も辛かったものです。

Transformationalとは、リーダーシップを表現するときによく使われる言葉で、emphatic, powerful, visionary, innovativeなどの特徴を併せ持つ特性です。お題は好きに選んでいいから、とにかくTransformationalなプレゼンをしなさいというこの課題には、インド人♂(シンガポール育ち)、タイ人♀(コンサル)、インドネシア人♂(ヒップホップ好き)、私(英検準二級)の4人チーム構成で挑むこととなりました。

まずはどんなお題にするかという段階でアイデア出しをするのですが、とにかくこのインド人が何を言っているかさっぱり分かりませんでした。圧倒的に英語力に差があったのと、ゼロからのアイデア出しという文脈の無い議論が苦手だという二つの問題が表面化。何か発言しようとしても、私のアイデアなど鼻からたいしたものでは無いだろうという雰囲気でほぼ無視。結果、私はこの議論から完全に外れてしまいました。

最終的に彼らから出てきたアイデアを聞いてみると、大して面白くも無いものでしたが、議論に着いて行けてない私が反論する権利など到底あるはずもなく、ただ指示されるがまま模造紙に図を描きました。挙げ句の果てにはプレゼンで話す原稿を渡されて、「Just read it.」と言われる始末。これほど自分の無力さを感じた瞬間は他にありませんでした。

一番嬉しかった思い出

必修科目を終え、私は ”Big Data Management Tools and Techniques” という選択科目を受講していました。このクラスはグループワーク主体で、プログラミングを組みながらビックデータの収集、結合、分析、グラフ化をするというのもので、アメリカ人♀(仕切りたがり)、アメリカ人♀(気候変動の話に敏感)、ナイジェリア人♂(カンフー好き)、韓国人♂(中国語も話す)、私(漢字検定三級)の5人チームとなりました。

毎週クラス内でのグループワークが2時間×2回、さらに週末に2〜4時間のグループワークと、とにかくチームでやることが多いクラスでした。学部でコンピューターサイエンスを専攻していたナイジェリア人と、別のクラスでExcel VBAをかじった私が中心にコードを組み、それをベースにみんなで議論するという流れで進めることが多くなりました。

グループワークではチームメートを相互評価するシステムがあり、チームへの貢献度が低いと思われると成績が悪くなってしまいます。レポーティングなど、英語力の問われる作業ではアメリカ人にかなわないので、とにかくグループワーク前にプログラミングのベースを作ったり、データを分析しておくことで貢献度を高めようと、必死にこそ勉しました。

結果的にはこのクラスの成績はPass(日本でいうところの可)と、かなり力を入れた割には残念なものでした。

MBAで一番嬉しかったことが起きたのは、その次の学期で “Marketing Engineering” というクラスを取ったときです。このクラスもグループワーク主体なのですが、自分たちで好きなようにチームを組んでいいというルールでした。周りがどんどんチームを結成していく中、どうしようかなぁと思っていると、Big Data Management Tools and Techniquesで一緒だったアメリカ人♀(仕切りたがり)のDannanが組もうと声をかけてくれたのです。

すでに決まっているチームメートを見ると、授業でもよく発言している優秀そうな人たちばかりで、全員アメリカ人。その中で、「Shoはとても数字に強いからチームに入れよう」とDannanが提案し、誘ってくれたようでした。

これほど嬉しいことはありませんでした。大事なのは英語力ではないと実感できた瞬間でした。強みを持っていることとそれを活かすことの大切さを知りました。

ちなみにMarketing EngineeringではExcellent(いっちゃんええやつ)を取りました。

自分の強み

MBAが私に与えてくれた最も価値のあるものは、過酷な状況です。そのおかげで自分の強みを発見することができました。

MBA留学が始まる時から、自分の強みが分析力や論理思考力であることはなんとなくは知っていました。ただし、優秀な人たちに囲まれ、全てのコミュニケーションが英語である苦しい状況下では、自分の弱みがあからさまに露呈し、強みを最大限活かさなければ生き残れません。

私の場合は、数字が出てこない議論と事前に考える時間がない議論が苦手です。逆に、事前に数字を使って分析してから挑むことのできる議論であれば、たとえアメリカ人相手であっても、全く負ける気がしません。これだけ確固たる自信が生まれたのは、辛い経験を味わうことができたおかげです。

MBAのプログラムは終わりましたが、これからはPost Research Projectに参加して半年間ミシガン大学に残り、統計学と機械学習の研究をすることにしました。楽しみで仕方がありません。その研究生活については、またこちらのブログでご紹介いたします。

Go Blue!