Mahoです。このブログの投稿も最後になりました。
昨日、ご指導いただいた教授陣とディナーにいった際、「卒業して一か月。MBAはどうだった??」と聞かれた私の回答は、"Life Changing Experience"。あらためてこれまでを振り返ると、受験生時代は想像できなかった自分がいるなと感じます。
プログラムが始まる前まで、私はMBAに対して、定量的な研究を前提としたハードスキル習得のイメージが強くありました。もちろん、様々なバックグラウンドを持つ人たちとのネットワーク構築や、経営者の疑似体験を通じたロジカルシンキングやリーダーシップの強化などがMBAの醍醐味だということも聞いていたものの、漠然としたイメージしか持っていなかったように思います。
実際にプログラムが始まってみると、確かに統計、ファイナンス、財務/管理会計などで学んだことは多く、それだけでもとても勉強になりました。ただ、ハードスキルの網羅的な習得だけであれば、海外MBAに来なくとも、時間と気合いさえあれば、日本国内にいても一定程度は習得できたのではないかと思います。また、勉強は実務経験にはかなわないので、(現実的には難しいかもしれませんが、)それぞれの部門で短期集中的にOJTを行うことが、実務遂行能力や過去から引き継がれた"正解"を再現する力を身につける上では、一番効果的かと思います。
では、わざわざMBAにいく価値は何か?私は、網羅的に学んだ経営知識を下に、曖昧な状況下で意思決定を下す訓練を積み重ねることだと思います。
曖昧さが持つ価値を学び、曖昧さの中で意思決定を下す多くの訓練を積み重ねることが出来たのは、私のMBA生活の中での大きな収穫です。特に印象的だったのが、Stanford Design Schoolで受講したクラスのこと。詳細はこれから学ばれる方にネタバレとなってしまうので伏せますが、要はいかに自分たちが「まずは課題設定し、その課題をいかに効率的に解決するかを考え、ボトルネックを特定し、…」といった型にはまり、曖昧で特定できない「ゆらぎ」や「不確実性」に耐性がないかを体感するものでした。そういったよく分からないモノや状況の組み合わせがイノベーションにつながるのに、ロジカルシンキングを鍛えられたビジネスパーソンは曖昧さを許容する力が自分の思っている以上に弱い、ということを思い知らされます。
MBAには、正解のない、不確実で、曖昧な状況下で判断を下す訓練の機会がたくさんあります。それはひとつひとつのケースディスカッションから、コンペやディベートまで、いくらでも探すことが出来ます。その際に、「本来は曖昧なモノや状況が、既存の価値観に縛られた結果、誰もが特定の見方で固定されるリスクがある。それを認めた上で、積極的に「ゆらぎ」や「不確実性」を見つけ出し、ビジネスチャンスに変えていくことが大切だ」ということ。これを、カオスな意見が飛び交ったり、自分と異なる常識と対峙したり、その上で締め切りに追われたりする中、実体験を通じて学べたことがMBAの大きな収穫でした。
例えば、様々なメンバーと接する中、私が一番苦労したのはアイディアベースで物事を進めようとするメンバーとのグループワークでした。日本企業でなら間違いなく「詰めが甘すぎる」「ちゃんと考えたのか」と怒られてしまうような、正直全くロジックのない意見や根拠なき提案も、右脳的発想でどんどん前に進めたいメンバーとの協業。「いつまでも自由に意見を言うだけじゃなく、提案するからにはその根拠もちゃんと持ち寄ってよ」と思ったことも一度や二度ではありません。
ただ、どちらの進め方が正解というものはありません。主張の前提条件やロジックを皆で共有し、スケジュール全体から逆算して完成度のたかいものを目指す方法もひとつ。実現性に縛られず、奇抜な発想を最後まで積極的に出し合うことでユニークネスを追及する方法もひとつ。
このような正解のない、曖昧な場面では、自らのポリシーが試されます。この意見は自分は同意しないけれど、大勢には影響ないから他のメンバーの意見を尊重してチーム全体のモチベーションを優先しよう。逆に、この点は他のメンバーととことん議論してでも、きちんと自分の意見を主張しよう、などなど。状況に応じて、何を優先し、何を大切にするか。そう考えることを繰り返す中で、自分の考えが特定の価値観に縛られすぎていないかを振り返り、自分のポリシーがより明確になります。そして、今後正解のない曖昧な状況下で意思決定を行っていく上での、自分の指針が出来たと感じます。
その他にもたくさんの収穫がありました。卒業後も学び続ける覚悟。今後何か大変なことに直面した際、努力次第で乗り越えられるだろうという自己肯定感。この先も積極的にComfort zoneを抜け出そうと思える自信。気軽にコンタクトし、フィードバックいただけるRoss教授陣とのネットワーク。経営者から直にシェアいただいた、リーダーシップやキャリア形成上のヒント。出産・育児等のライフイベントとの両立に悩みながらもキャリアを邁進する女友達。悩んだ時、信頼して弱みを見せて相談できるメンター、サポーター。時には朝4時まで喧々諤々と議論した、この先もずっとつながっていきたい友人。様々なポジティブな影響をいただくことができ、感謝しています。
最後に、もう既にご連絡いただいている方もいますが、もし現在受験中で、直接話が聞きたいという方がいれば、ぜひ事務局経由で気軽にご連絡下さい。私も受験中はたくさんの方に励ましていただいたので、その恩返しができればとても嬉しく思います。
皆さんの受験生活が実り多いものになることを願って。Go Blue!