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光と影を見ることで

US Language and Culture in Context (ELI 560)の授業を受講して

こんにちはToruです。アナーバーにも春が近づいてきて、寒い日と暖かい日が交互にやって来ています。日本でいう三寒四温でしょうか。

今回は、Ross以外の印象に残った授業について書いてみたいと思います。私はWinter TermにEnglish Language Institution (ELI) というミシガン大学の英語教育機関が提供するクラスを語学力アップのため受講しました。ELI 560 US Language and Culture in Contextというクラスで毎週、月曜日に2時間のクラスを4か月かけて13回受講するというものです。本クラスは、英語学習をしながらアメリカの社会、特に、貧困層の抱える問題などについて議論します。ビジネススクールでは学べない内容であり、多くのものを得ることができました。

具体的に、Inequity and Poverty, Food Insecurity and Access, Homeless and Affordable Housing, Educational Programs and Educational Inequityといったトピックを議論します。クラスメイトは韓国、中国、ドイツ、ウクライナ、サウジアラビアの学生で、エンジニリングや看護学部など色々な学部から来ています。アメリカに加えて、各国の貧困層の抱える問題も議論できます。

宿題では、次回の授業に向けて1~2時間のドキュメンタリー映画を見たり、論文を読んだり、新聞記事を読んだりします。貧困に喘ぎ、家を失ってシェルターを転々とする家族、学校にまともに通えない子供、学校に通ってもスラムの公立学校では十分な教育が受けられないといった題材をこれらの宿題は取り上げています。宿題を通してこれらの原因となる問題は何なのか、解決に向けて取り組まれている活動はどんなものがあるのかをまとめて、それらを授業中に議論をします。

現在、政府はこういったなかなか貧困から抜け出せない人たちにセイフティネットを張る制度を作ったり、NPOは住居や食料を供給する取り組みをしています。ミシガン州には、デトロイトがあり、貧困にあえぐ人たちも少なくなく、こういった人たちを支援するたくさんのNPOが存在します。授業では、ミシガンのFood Stampの活動についても学びました。例えば、Food GatherersというAnn Arborに拠点を置く団体ですが、ホームレスや生計の苦しい家庭に食料を提供しています。このような団体は、企業や個人の寄付で成り立っていて、ボランティアによって支えられています。授業外ですが、私は担当する先生とクラスメートと来月、このボランティアに参加することにしました。

こういった授業を通して学んだことは、アメリカでは貧富の格差が広がっており、それらは世代を超えて引き継がれているということであり、社会の構造として問題があるということです。問題は経済、教育、政治、人種問題などが複雑に絡み合っており、一筋縄で解決できません。今回、アメリカの貧困層の人たちの抱える問題を地域レベルまで掘り下げて学んだこととによって、所謂アメリカの影の部分を知ることができたと感じました。貧困層の人たちにフォーカスすることで、アメリカ社会や国全体が抱える問題の縮図が浮かび上がってきました。ビジネススクールでは、アメリカの企業の好事例を学ぶことも多く、所謂アメリカの光の部分を学びました。私は、このアメリカの光と影の部分の両方を学ぶことによって、より一層、国や社会が抱える問題を理解できたと感じました。

ビジネスを行う上で、貧困層の人たちについてフォーカスすることは限定的であります。しかし、こういった影部分を見てみることで、気づかなかったニーズやビジネス機会を新たに見つけることができるのではないかと感じました。最後に、私は授業のFinal Projectで、医薬品を購入できない貧困層の人たちへは現在、どのようなセイフティネットがあるのかを調査してまとめ、今後はどのような取り組みが必要なのかを提案しようと考えております。このプロジェクトを通じて、ヘルスケア、特に医薬品の供給の問題についてより一層理解を深めたいと考えております。