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MBA流グループワークとは

MBAの代名詞ともいえる、グループワークについて考えました。

こんにちは、Yoです。MBA授業の特徴(アメリカの教育全般にも言えるのかもしれませんが)は、何といってもグループワークです。特にミシガン・ロスは、協調性を重んじる校風もあり、例えばアカウンティングといった、通常の発想であれば個人の学問だろう、と思うような科目でも、グループでの課題解決やレポート作成を課されます。したがって、授業外の時間であっても、このグループで集まり、勉強・ディスカッションをするという時間が大変大きな割合を占めます。今回は、このMBAの代名詞と言っても過言ではない、グループワークを通じて感じる文化の違い、仕事への向き合い方など、個人的に思うところを書いてみようと思います。

通常、各学期の最初の授業が終わるあたりで、教授から「次回までにグループを作っておくように」との指示があります。一部には、教授が参加者のバックグラウンド等を加味した上で、グループメンバーを指定する場合もありますが、多くの場合、気の知れたメンバーや、たまたま近くに座っていた生徒が中心となり、4~6人程度のグループを作ります。(これに、端数調整や後から授業に参加した人が適宜アサインされるので、気心が知れたメンバーだけでグループを作ることは、ほぼありません。どの授業でも必ず数人は、初めましてのメンバーがいます。)この様なグループを、2~4グループほど掛け持ちながら、時間をやり繰りするのが一般的なスタイルです。

このグループワークのメリットは、何といっても“Synergy”に尽きるかと思います。例えばアカウンティングといった、一見答えは明確で、議論の余地はない課題であっても、様々なアプローチがある事を発見します。またストラテジーやマーケティングといった、少しぼやっとした分野であれば、メンバーの人数分だけ答えが出てきます。ここから甲論乙駁が始まるのですが、各人の意見の根拠の立て方も、また様々です。ロジックで考える人、直感に従う人、全く考えもなく言っているが妙に説得力のある人等々。こう考えると、このグループワークの趣旨は、結論そのものよりも、そこに至るプロセスを重要視しているものなのかも知れません。(いわゆるケーススタディーも、考えるプロセスを重要視しています。)

但し、デメリットもあります。何といっても時間がかかります。メンバー各人のスケジュール調整も難しいですが、それぞれ熱意や思い、または背景知識の有無などバラバラですので、その温度差は、所要時間として現れます。時には、感情的になることも・・・。とすると、このグループワークが目指すところの一つは、チームマネジメントであるかも知れません。動機付け、インセンティブ、個とチームの責任の共有など、ビジネスシーンでは不可欠の要素です。

では、そこから読み取れる、文化の違いとは、何か。ここでは、議論をシンプルにするため、敢えて日本人とアメリカ人という観点で考えます。一つは、分担の仕方があると思います。(私の個人的な経験からは、特に?)アメリカ人のメンバーは、仕事を分担したがる傾向が強いと思います。一度打ち合わせに集まると、その場でタスクの担当を割り振って、あとはアウトプットを纏める(というか、マージする)だけ、という事もしばしば。この場合、クオリティーコントロールは難しいものがあります。得てして、勤勉な日本人メンバーが最終仕上げを買って出ることになります。他方、(多くの)日本人メンバーは、各人の分担箇所の連続性、全体のトーンなど非常に繊細です。アウトプットの美しさには分があると思います。(フォーマリティーに拘り過ぎる点も、同時にある訳ですが。)

次に、ディスカッションや打ち合わせへ臨む姿勢も特徴的だと思います。日本人は、得てして事前に自分の意見やそれを裏付けるデータなどのメドをつけて臨みます。これは、英語で自分の考えを説明するためには、ある程度事前に準備しておかなくてはという危機意識もあるかもしれません(英語が苦手な私は、ですが)。他方、アメリカ人は、打ち合わせに、とりあえず来ます。そしてその場でしゃべりながら、意見を形成していきます。そういう意味では非常に柔軟で、また発言することでグループに貢献しているという思いもあると思います。故に、黙って座っているだけの日本人は、(陰でクオリティーコントロールを頑張っていたとしても)意味がない、貢献していないと思われてしまうかもしれません。

このように、物事の発想の仕方から根本的に異なるメンバーが、意見をぶつけ合うグループワークは、デメリットを補って余りある、収穫のあるスタディー手法なのでしょう。今回は敢えて2国間の比較を考えてみましたが、これを複数ヵ国、文化で行うMBAライフは、やはりとても刺激的な場所だと思います。以上雑感ですが、ご参考まで。

(なお、日本人/アメリカ人といっても、あくまで個人的なもので、アウトプットのクオリティーコントロール、議論の仕方、時間の使い方が身体に染みついている人も沢山おります。)